SUGARHOUSE

絵本、漫画、アナログゲームの紹介や教育、田舎暮らしなど日々のことを気ままに書いています。

奥深い朗読の世界を味わいたくなる漫画 「花もて語れ」

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本を読むことは好きですか?

読書が好きって言っても、普段声に出して読むってことは少ないですよね。
でも、声に出すことで「登場人物がどんな思いなのか?」「作者は何を伝えようとしているのか?」がはっきりと感じ取ることができるようになります。

そんな朗読の世界を描いた漫画があります。
週刊ビッグコミックスピリッツ(4巻までは月刊!スピリッツ)で連載された、片山ユキヲさんの「花もて語れ」です。
現在、連載は終了していて全13巻が小学館から発売されています。

両親を事故で亡くし、田舎の伯母の家に預けられた佐倉ハナ。
引っ込み思案な性格と、方言に慣れないせいで周りの人とうまくしゃべれません。
そんなハナに学芸会の演目「ブレーメンの音楽隊」のナレーション役がまわってきます。
やりたいけど勇気の出ないハナに、教育実習にやってきた折口柊二は、登場人物の「視点」に入り込んで読めるハナの才能に気づきこんなことを言います。
「朗読が声で届けるのは、自分の思いじゃなくて作者や登場人物の思い。(中略)そして作者や登場人物の思いがみんなに伝わった時…それは読み手であるハナちゃんの思いがみんなに伝わったってことだ!」
ハナはナレーション役に挑むことを決意し、台本を読み込みます。
そして、学芸会当日、ハナは…

映画や演劇と違い、朗読は声のみで相手に伝えます。
だから声の出し方や読み方、間などでどう伝わるかが変わってきます。
そこが朗読の面白さであり難しさでもあります。
この漫画には朗読にとって大切なテクニックがたくさん出てきます。
『その時、私は「お母さん」と言った。』という文章をどう読んでいいかわからないハナに朗読教室の藤色きなり先生はこう言います。

読み手がイメージできないと声に出せない。
「朗読はイメージに始まりイメージに終わる」と言われるゆえんです。
そして、ハナが小さかったころから得意としていた「視点の転換」。
セリフだけでなく、「地の文」にも視点によって読み方が変わってきます。

さらに、立体的に場面イメージを伝えるための「間」の使い方などもあります。
もちろん、それがメインではなくて、親友の満里子や憧れの折口先生、同じ朗読教室に通う仲間たちとの交流を通して佐倉ハナが成長していくストーリーがとても面白い漫画です。

この漫画には、昔、誰でも教科書で目にしたことのある「ごんぎつね」「花咲山」「やまなし」「注文の多い料理店」などが登場し、作者がどんな思いを込めてこの作品を書いたのかが解釈されています。
この漫画を読むと、それらの文学作品をもう一度声に出して読んでみたくなります。
この漫画を読んで、朗読の世界に触れてみてはいかがでしょうか?

出典)「花もて語れ」片山ユキヲ/小学館